鱧について
ハモ(ウナギ目ハモ科)
ハモは恐ろしい??
ハモの語源は「食(は)む」からきているといわれます。
ハモはその上品な美味しさから想像つかないような非常に凶暴な魚で、
魚、イカ、エビ、タコなどのかなり大きな獲物をその大きな口で捕らえて食べます。
この口には料理人もかなりの注意が必要で、活絞めする際に指を噛まれたりすることが多々あるようです。
かくゆう当店主の本田元一もハモに指を噛まれ、右手に包帯を巻いて自宅に帰ってきたことがあります。
(ちなみに彼の手にはハモ、フグ、タイに噛まれた”戦歴”が残っています。)
海のギャングと呼ばれるウツボも同じウナギ目の魚であると言えばこの凶暴さも納得できるでしょう。
鱧はウナギ目
ハモはウナギ目に属しますのでウナギやアナゴの仲間です。
同じ仲間でもウナギやアナゴは脂ののった濃厚な味が魅力ですが、
ハモは味わい深く上品で淡泊な味が魅力です。
これはウナギやアナゴの様には脂分が多くない代わりに、
鱧には旨み成分であるアミノ酸がより多く含まれているからです。
さっぱり、あっさりとしているのに旨いのはアミノ酸が多く含まれているおかげですね。
毒入り?
ウナギ目共通の特徴として、毒があります。
ウナギ、アナゴ、うつぼ、もちろん鱧にも血液中に「イクシオトキシン」という毒があって、食べるとおなかを壊すんです。
「ひえ〜〜〜!? いつもウナギ食ってるよ??」
と、驚きの方もおられると思いますが、事実です。
ただし、加熱するとその毒は分解してしまいます。だから安心してもらって結構です。
そういえばウナギとかアナゴのお刺身ってありませんよね。
鱧の骨切り
ハモは小骨が非常に多いため、そのままでは食べることができません。
そこで「骨切り」と言う技法を行います。(写真つきの詳しいページ)
開いた身に細かく包丁を入れていき、皮一枚だけを残してじゃばら状にします。
一寸(3.3cm)あたり25本の包丁を入れられれば名人とされるようです。
最近(と言っても結構昔からですが)では「骨切りマシン」なるものが存在しますので、
ハモ切りの経験が無い魚屋などでもハモが並べられるようになりました。
しかし、機械式のものは綺麗に一定間隔で切られ、
身がやけに平べったくなるので華を咲かせるのは難しいようです。
ちなみに当店は手切りですのできれいに花を咲かせることができます。
商品に自信ありの本田鮮魚店ですが、ハモに何本包丁が入っているかなどは数えたりしないでくださいね(笑)
(ちなみに加熱すると身が膨らみますので、見た目は荒く見えます。)
ハモと京都
京都の人は昔からハモをよく食べます。
今のように流通が発達してなかった時代、
海が遠い京都へは暑い夏に新鮮な魚を運ぶのは非常に困難でした。
しかし、ハモは非常に生命力の強い魚で、瀬戸内から生きたまま京都に入荷させることが可能でした。
と、言うよりもハモぐらいしか活魚として京都に入荷できなかったのでしょう。
特に七月、つまりハモの旬に行われる「祇園祭」ではハモが大いに振舞われ、別名「鱧祭り」と呼ばれます。
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